(2020/9/14>2023/10/13一部リンク更新>2024/10/31一部リンク更新)
(この記事は2020年に執筆したものですが、2021年用に記事内のリンクは2021年分にしているものがあります。記事の内容は2020年のままですのでご注意ください。→リンクを2023年分に修正しました。内容は2021年執筆時のままですのでご了承ください。→一部のリンクを2024年分に修正しました。定額減税などの最新の改正には言及していませんのでご注意ください。)
年末調整書類には英語を始めとする外国語版があります(2020年(令和2年)分→リンクは2024年分に更新済)
こんにちは。税理士の小林です。2020年はコロナウイルスの影響のせいか、本当に時が経つのは早いなと感じます。少し気が早いですが年末調整の季節も近づいてきましたね。毎年年末調整の作業をされている方はいつもの書類の収集のことが頭に浮かんでいるのではないでしょうか。年末調整の書類も毎年のように記入する内容が変わり、記入に苦労する従業員の方も多いのではないかと思います。特に日本語があまり得意ではない外国人の方は苦労されているようです。書類は基本的に堅い日本語で書かれていて理解するのはなかなか難しいものです。しかし税務署もそのような事情をある程度理解しているようで、年末調整の各書類には実は外国語バージョン(英語、中国語、ポルトガル語、スペイン語、ベトナム語)が存在するのです。これを活用することで煩雑な年末調整作業も少しはスムーズに行えるのではないでしょうか。
年末調整の全体の詳しいルールはこちら
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
下記のリンクにそれぞれ外国語バージョンのPDFがあります。
(令和6年/2024年)
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/annai/1648_01_gaikokugo_r06.htm
(令和7年/2025年)
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/annai/1649_01_gaikokugo_r07.htm
一番馴染みのある(?)扶養控除等申告書です。扶養(dependent)の書類ではありますが、扶養がない人についても年末調整を行う人は基本的に必ず提出しているものです。年末の時点で結婚等により扶養人数に変更がある場合にはそれを踏まえて年末調整をする必要がありますので忘れないようにしてください。扶養している人が増えると税金は安くなりますので。あと、外国人社員に多いのですが、国外居住親族の扶養(外国に家族が住んでいて養っている人など)のルールは複雑で、追加で必要な書類もあります(時間もかかります)ので注意が必要です。
給与所得者の保険料控除申告書
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/annai/1649_05_gaikokugo_r06.htm
従業員の方が生命保険(Life insurance)や地震保険(Earthquake insurance)などを個人的に支払っている場合は、年末調整によって税金を安くすることがあります。なぜ従業員が個人的に支払っているものを会社が把握する必要があるのか、と思った方もいるかもしれませんが、年末調整は各従業員のミニ確定申告のような性質があるので、会社に直接関連のない保険料の支払いなども年末調整には関連することになります。外国人社員に多いのが、海外の生命保険の会社に保険料を支払っている場合です。これは控除の対象になるのか、と質問を受けることがよくありますが、契約が海外の保険会社と締結されているようなものは残念ながら対象になりません。
給与所得者の基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書(記事では定額減税には触れていませんのでご注意ください。)
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/annai/1649_73_gaikokugo_r06.htm
正直なところ、いくら外国語があるとはいえ、この申告書を外国人が正しく記入するのはかなり難易度が高いのではないかと思います。日本語での細かい記入方法はこちらにありますので、ここではこの申告書が一体何なのかを簡単に説明します(3つの書類が1つになっています)。
①基礎控除申告書
基礎控除というのは年末調整を行う人の多くが適用可能な控除です。適用がないのは一年の所得が2,500万円を超えるような人です(所得とは何かというのは説明が長くなるのですが、額面の給料よりも少し金額を減らした金額くらいのイメージを持っていてもらえればとりあえずは良いかと思います。しかし、実際に書類に記入するときには収入と所得の区別はとても重要です。。)。あと、給料だけで金額が2,000万円を超えるような人はそもそも年末調整自体出来ませんので、自分で来年確定申告をすることになります。結論としては、多くの年末調整の対象者が無条件で適用出来るものということになります。この申告書で自分の給料等の状況報告をします。
②配偶者控除等申告書
配偶者/Spouse(妻、夫)が働いている場合でも、パート・アルバイト程度でそんなにたくさん稼いでいない場合には、本人の税金を安くする控除が受けられることになります。もし配偶者が無職の場合には計算はそこまで複雑にはなりませんが、それでも本人の収入の状況によって控除の金額が変わりますので、基礎控除の記入の結果を踏まえて空欄を埋めていく必要があります。また、本人の収入がかなり多い場合には控除を受けられないこともあります。この申告書でも収入と所得はしっかり区別しましょう。
③所得金額調整控除申告書
名前だけでは何のことかわからないと思いますが、これは障害のある方(本人や扶養している親族)や23歳未満の扶養親族がいるときに控除の対象になる場合があります。どういう場合なのかと言うと、給料の収入が850万円を「超える」場合です。なぜ高所得者が控除を受けられるのか、と思うかもしれませんが、他の税金のルールを変えた都合上、色々辻褄を合わせるために作られているのであまり気にしないでください(そのこともあり、このような名称になっているんだと思います)。
おわりに
去年と比較すると書類の難易度はかなり上がっている印象です。特に最後の書類は外国人の方が自分で正しく記入できるとはなかなか思えません。。しかし適用可能な控除のためには多少時間がかかっても記入することをお勧めします。外国語バージョンも細かいところまで訳されていますので、年末調整の担当者と一緒になって頑張ってもらえたらと思います。
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