(2019/9/10)

cashless

今は基本的に〇〇Payは使った方がいい

10月から増税ですね。そのせいか最近「キャッシュレス・消費者還元事業」のニュースもよく見る気がします。これはどういう事業なんでしょうか。一般社団法人キャッシュレス推進協議会によると、内容は次のようなものです。

(https://cashless.go.jp/providers/)

キャッシュレス決済事業者はPayPayとかLINE Payとか〇〇Payのことで、中小・小規模事業者はお店のことですが、消費者目線でいうと、
①対象のお店で〇〇Payを使って商品を買う(増税後の値段)
②〇〇Payから最大5%のポイントが還元される
1080円のものは10月から1100円になるわけですが、①1100円払い、②55円がポイントとして還元される、ということになるでしょう。1080円のものが10月から1025円になるということで増税前の今よりも安くなることになりますね。そこで気になるのは、増税前の現在でも〇〇Payを使うと数%のポイント還元が行われていますが、増税後は上の5%に上乗せされることになるんでしょうか?PayPayでいうと現在3%(条件あり)のポイント還元が(永遠に?)行われることになっていますが、もし上乗せということでしたら8%還元ということになります。期待したいところですね。ちなみに国の還元の期間は決まっていて、2020年6月までです。10月からなので9ヶ月間です。とりあえずその期間は〇〇Payを使った方が良さそうですね。
ところでこのキャッシュレス決済の還元は軽減税率とは全く別のものです…念の為。また、〇〇PayでなくてもクレジットカードやSuica(ICOCA)で支払っても対象です。キャッシュレスなので。セブンペイのこともあって〇〇Payの安全面が不安な人はクレジットカードとかでもいいかもですね。

還元の対象の店は?

最大5%というのは表現として少し嫌ですよね。なんだかんだ複雑な条件があって結局1%くらいしか還元されないんじゃないかと考える人もいるんじゃないかと思います。実際には還元の条件としては、お店が中小企業かどうかということになるようです。

(https://cashless.go.jp/assets/doc/chusyo_teigi.pdf)

ということで誰もが知っているような有名企業(店)は対象にならないでしょう。ただしフランチャイズとしてお店を出している場合(コンビニなど)は2%の還元対象です。正直どの店が対象か対象でないかをいちいち確認するのは困難ですので、「5%還元対象!」といった表示が店にされるでしょうし、〇〇Pay上で確認できるようなことにもなるのではないかと思います。ものすごく大変ですが、一応以下のリンクから対象の店を確認できるようです…。
https://cashless.go.jp/assets/doc/kameiten_touroku_list.pdf

キャッシュレスの未来は…?

〇〇Pay=キャッシュレスの王道、みたいな流れがあるような気がしますが、個人的にどうなのかなぁと思う点は少しあります。とある〇〇Payで支払う際の手順を見てみましょう。
①全ての商品をスキャンして合計金額が表示される
②QRコードを読み取る
③(買う側の私が)合計金額を〇〇Payのアプリに入力する
④店員さんにその金額を確認してもらってから支払いを確定する
⑤支払いが完了した画面を店員さんに確認してもらう
…なんだか私も一部のレジ作業をやっているような感じですね。バーコードを読み取ってもらって支払いが完了する店舗もあるのですが、コンビニなどの優秀な決済端末がある店舗に限られています。キャッシュレスを普及されるために重要なのはそういう端末を導入するのが難しい(と思われる)店舗でもキャッシュレス決済ができるようにすること(だと考えられています…)です。よってQRコードは紙があれば決済ができるので店にとってはコスト面で優秀と言えます(無料で導入できるものもあります)。ただ、今のQRコードで決済する方法は現金より利便性が向上したとは言い難いと思います。特に自分で金額を入力するというのが私としてはこれまでの支払い方法にはなかった負担です。高齢者にももちろん優しくありません…。また、スマートフォンで読み込んで決済するということはスマートフォンの電池の残量にも気をつけなければならないということでもあります。QRコード決済をするつもりでレストランに入って楽しく食事をしている間も電池の残量を定期的に確認するのでしょうか…。また、先日AWSというクラウドサービスの障害により〇〇Payが一時的に利用できないということもあったようです…。このように利用できないことが場合があるということを想定しながらでは安心して使うことは出来ません。

このように利便性という点だけを考えても〇〇Pay(スマホでQRコードを使って支払う方法)の普及は難しいのではないかと私は考えています。今流行っているのはキャンペーンで支払額の20%還元などの普通では「ありえない」ことを行っているからに他なりません(もちろんずっとは続きません)。そしてもともとの火付け役は政府のキャッシュレス還元事業でしょう。
スマホが必要なことを前提とした支払いシステムを普及させることが望ましいことなのでしょうか…。私は東京に住んでいますが、スマホ決済が流行る前からキャッシュレス生活をしていました。クレジットカードと電子マネーで(ほぼ)全ての支払が出来ていたのです。〇〇Payが流行ることでの還元セールはありがたいのですが、支払いの際に必ずスマホを使用しないといけなくなり、正直なところ不便になったと思っています。東京だけで考えると、「店側にキャッシュレス決済の設備がないことが理由でキャッシュレス決済が普及していない」ということではないのではないかと思います。経済産業省のレポート(https://www.meti.go.jp/press/2018/04/20180411001/20180411001-1.pdf)にもありますが、キャッシュレス決済が普及しない理由は「キャッシュレス支払にまつわる各種不安」というのが一番大きな理由だと私は考えます。具体的には「浪費しそう」「お金の感覚が麻痺しそう」などの理由があるようですが、逆に考えるとお金に関する知識を深めることが出来ればキャッシュレス決済は普及するのではないでしょうか。それを促進する意味でも、(コスト負担のない決済設備を店側に普及させることよりも)例えば韓国が行っているクレジットカード利用額の20%を所得控除(所得税が安くなる)するというのはアリなのではないかと思います。そのためだけにサラリーマンが全員確定申告をするのは大変なので年末調整とかでやるのはどうでしょうか。〇〇Payを使うことで(クレジットカードよりも)「圧倒的」に有利なポイント還元を行い、それを継続するのは難しいでしょうから、国民の「キャッシュレス不安」に着目した政策を推進するほうが長い目で見ると効果的なのではないかと思います。

さいごに。「割り勘アプリ」としては助かる

〇〇Payに対して少しネガティブなことを言ってしまいましたが、他のことで使うならいい部分もありそうです。で、〇〇Payで便利だと思う使い道は個人間送金や割り勘ではないでしょうか。飲み会をやると当然割り勘したりしますけど、クレジットカードで割り勘は難しいので。あとはアプリでクーポン配布とかポイントカード代わりに使うとかでしょうか。